憲法改正草案
民主主義を破壊する危険な条項が複数
緊急事態条項
- 緊急事態下では内閣に独裁的な権限を付与し、基本的人権が損なわれる危険性が大
- 三権分立、地方自治、基本的人権の保障は制限、またはほぼ停止され、内閣の独裁が可能
- 民主主義の国家体制を骨抜きに出来る
- 閣議と国会承認(事後承認も可)のみで曖昧で緩やかな条件で発動可能
- 緊急事態の定義は内閣が独断で決定できる(実態がなくとも内閣が緊急と言えば緊急事態となる)
- 警察法における国家公安委員会のような第三者による勧告が定められていない
- 内閣に国会と同じ立法権を与え、どのような法律も容易に制定可能となる
- 緊急事態下では現職の衆議院は解散されず、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる
- 現職議員が永続的に議員で留まれる
- 国家権力が暴走しかけた時でも、選挙による抑止力がなくなる
- 解除が困難で延々と続けることも可能
- 世界の多くの国でのロックダウンはこのような法的根拠によるもの
現憲法下でも警察法による緊急事態の布告と自衛隊法で緊急事態に対処することが充分可能であり、憲法に追記する必要性は皆無
第12条 国民の責務
自由と権利を主張するには、相応の責任が伴うことを自覚せよという趣旨の文が追加されている。
現行
国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって保持し、濫用してはならないが、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。
改正案
自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない
第13条 個人の尊重 幸福追求権
個人の自由が制限され、民主主義国家の大原則である基本的人権が失われる。
現行
公の福祉に反しない限り、保障する
社会や大勢のために、個人が我慢しなければならない意味合いではない
改正案
公益および公共の秩序に反しない限り、保障する
社会や大勢のために、個人が我慢をする必要がある=政府が決めたルールのために個人の自由が制限される
第15条
「普通選挙を保障する」から「普通選挙の方法による」に変更
現行
公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
改正案
公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による。
第21条 表現の自由
国家が不都合と決めた表現の自由を制限出来る。
実例:
- 欧州、オーストラリアでの新型コロナワクチン強制接種やマスク強制への抗議活動への弾圧、逮捕等
- 香港での民主化運動への弾圧、逮捕等
- 中国での情報空間を含む国民への徹底した言動検閲や精神性向上のための法輪功への弾圧、逮捕、強制収容等
第97条
最高法規を謳う条項の全文削除
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第11条、第12条を再確認する内容ではあるが、削除することにより人権の不可侵性を弱めたと捉えられる。
第100条 憲法改正要件の緩和
発議要件を緩和する必要性はなく、国民投票の賛成票の有効票を限定することは、票の操作の目的が疑われる。
2020年の米大統領選や10月の衆議院議員選挙でも選挙不正の動きが見られた。
第102条 憲法尊重擁護義務
国家権力の暴走を防ぎ、個人の自由と基本的人権を保障する憲法の目的から逸脱。
現行
国会議員、国務大臣、裁判員その他の公務員が尊重し擁護する義務を負う
改正案
憲法を尊重しなければならないのは国民
2国会議員、国務大臣、裁判員その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。
憲法改正の必要性
終戦直後にGHQが僅か1か月弱で作成し、当時の吉田首相に日本人が草案したという名目で制定させたGHQ産憲法は今日の国際情勢にそぐわない内容となっており、占領下の被統治国ではなく独立国家としての憲法が必要なことは事実。
しかし、2012年に自民党が草案した改正案は近年竹島の不法占拠を行う韓国や、国際法を無視し南沙諸島に軍事基地を建設、台湾統合を明言し、2021年だけでも数十回に及ぶ尖閣諸島等への領海・領空侵犯を行っている中国の脅威に対応するどころか、中国が行ってきた人権侵害をわが国でも許容する共産化の内容であるため、日本国民の基本的人権と全ての権利を守るために断固反対しなくてはならない。
国民の権利と自由を損なうことなく、独立した民主主義国家としてあるべき新憲法の草案が必要である。
第98条 緊急事態条項
緊急事態への対応は警察法の緊急事態の布告と自衛隊法で充分
現行憲法下でも警察法と自衛隊法で対処可能
警察法
災害時等において、内閣総理大臣は「緊急事態の布告」を行うことが認められ、暴走を防ぐために「国家公安委員会」という第三者からの勧告を前提としている。
自衛隊法
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められる時には、国会の承認を得たうえで自衛隊へ出動命令を指すことができる。
緊急事態が宣言されるとどのような事が起きるか?
- 緊急事態宣言時には国や自治体の命令に従わなければならない
- 現況のコロナ対応の自粛依頼、マスク着用、ワクチン接種 → 義務化され、従わなければ違法行為として取り締まられる
実例:
- 欧州、オーストラリア、カナダ等での新型コロナワクチン強制接種やマスク強制への抗議活動への弾圧、逮捕等
- 香港での民主化活動での弾圧、逮捕等
起こりうる例
- 緊急事態中は基本的人権の「保障」は解除され「尊重」に留まり、どうしても必要と判断すれば人権侵害にも許される。
- 政府が尊重する範囲でしか報道の自由が確保されず、土地収用などの財産権侵害
- 刑事訴訟法の逮捕の要件を内閣限りの判断で変える。
- 裁判所法を変える政令を作り、裁判所の権限を奪う
- 予算の裏付け、審議と国会の承認なしに「財政上必要な支出その他の処分」を行うことができ、不公平に復興予算をばらまく等
- 内閣が地方自治体の長に対し指示、制限でき、首相の意に沿わない自治体の長に辞任の指示や罷免
実例:ワイマール憲法下のドイツでは、右翼的な中央政府が、緊急事態条項を使って社会党系のプロイセン政府の指導者を罷免した。
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現行憲法と改正草案の比較
緊急事態条項
4.緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
第100条 憲法改正要件の緩和
現行
国会議員の3分の2以上の賛成後、国民投票
改正案
国会議員の半分以上の賛成後、国民投票
現行
国民投票の半数以上賛成で、改正決定
改正案
国民投票の有効な投票の半数以上賛成で、改正決定
不適切な記入方法等で有効でないと認めらえる票は排除するという趣旨。
2020年の米国大統領選に短時間で起きたバイデン・ジャンプと、全国で類似の不正/不審な動きが見られた衆議院選挙からしても、有効でないと票と操作することも充分可能であり、集計方法を改正しなくてはならない理由が存在しない。
【公共の福祉】から【公益及び公の秩序】に変更
「公共の福祉」という文言が含まれている条文
「公共の福祉」が「公益及び公の秩序」に変更されている
第十二条 国民の責務
現行
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
草案
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。又、国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
第十三条
現行
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
改正案
全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重しなければならない。
第二十九条
現行
財産権は、これを侵してはならない
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
改正案
財産権は、保障する
2財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的想像力の向上に資するように配慮しなければならない。
3私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
憲法は国家の暴走を防ぐためのもので、根本は「個人の自由を前提に社会を組み立てる」ものであり、現行憲法においては様々な人権が「侵すことのできない永久の権利」として規定されている。
第21条 表現の自由
草案
(表現の自由)
第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない。
第3項の「検閲の禁止」は保持されているが、国家の都合で制限できるものを「表現の自由」とは言えない。
国家の法体系の根本を為す憲法の中で自由が保障されていなければ。国家の都合次第で容易に人権を制限できてしまう。
大日本帝国憲法下では治安維持法が制定され、人々は「表現の自由」だけでなく、「思想・良心の自由」までも侵害された歴史的事実がある。
憲法尊重擁護義務
憲法に縛られるべきは国家権力であるところ、尊重しなくてはならないのは国民であり、公務員は擁護の義務のみとなり、真逆になっている。
現行
第九十九条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
草案
(憲法尊重擁護義務)
第百二条
全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2国会議員、国務大臣、裁判員その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。
緊急事態条項
全文記載
現行憲法および自民党改憲案比較表 記載のない条項もあり